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2009年5月28日 (木)

カナリア

ある日そのカナリアは突然やってきた
カナリアは美しい歌声で聞いた事のない美しい歌を聞かせてくれた
その日から、雨の日も風の強い日も、夜明けの時も夕暮れの時も
美しい歌を聞かせにやっていてくれた

透明で、透き通るような美しい声
時にとても甘く柔合い声
そして時には強く激しい情熱的な歌声だった
目を閉じて、じっと、そっとその歌声に耳をすませると、まるでどこへでも行ける気になった

カナリアの歌を聞くと、不思議に楽しい気持ちになった

そんな夢のような日々がいつまで続くだろうと、ある日思うようになった
カナリアは明日もやってくるだろうかと思うようになった

梅雨の季節がまたやってきて、雨宿りにカナリアはまた雨の歌を聞かせてくれた。

けれど、ある日からカナリアは歌を忘れたように歌わなくなった
一生懸命を声をふりしぼるようにだそうとしているようだった
まるで表情が消えていくようにカナリアは遠くを見つめるようになった

そっと目を閉じてカナリアの歌を思い出した。今度は自分がカナリアにむかって
精一杯大きな声でカナリアの歌を歌った。

カナリアは美しいさえずりとともに大空へときえていった。

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